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稲刈り 体験報告2008!


 昨年のTOREK自然農法の稲作には、いろいろなことがありました。
 まず大きなことは、新しい実施者が増えたことです。初心者では、20代の青年2名、神奈川県の萩原さん、山梨県の高橋さんです。さらに石川県では、東さん、山下さんという、有機や減農薬に取り組んでいる方々が、一部、無施肥無農薬栽培を始めました。実施する方が増えたことは何よりの喜びです。
 また、特筆すべきは、大変豊作の生産者が多かったことです。長野県の堀さんも、千葉県の松戸さんも今までで最高の出来でした。
 生産者どうしの交流・情報交換の場、稲作交流会も昨年2回行われ、今年も3月7、8日に行われました。今年は単なる無施肥無農薬栽培ではなく、土を尊び、土を愛し、汚さないという岡田茂吉師の農業理論にのっとった栽培を目指していくこと、それがTOREK自然農法であることを確認しあいました。皆で協力し、今年も取り組んでいきたいと思います。
 さて、昨年3ヵ所の無施肥無農薬栽培の田んぼの稲刈りに立ち会いましたので、以下にその報告をします。また、参考として、新潟の飯塚さんの「手作り味噌」についてのお話と、昨年の「稲作交流会」についてのごく簡単な報告もご紹介します。(関谷)

1 石川県鶴来にて
2 福井県池田町にて
3 長野県木島平にて
参考1 「こだわりの手作り味噌!」
参考2 自然農法稲作交流会2008


1 石川県鶴来にて
 まず無施肥で約1町の作付けをされた石川県鶴来の森さんの田んぼです。
 9月24日、この日刈り取る田は、無施肥無農薬3年目の3反8畝の大きい田です。今回、森さんはコンバインのオペレートまで任せてくれました。コンバインは高額な農業機械の中でも最も高価なため、普通は触らせてもらえません。
 最初、となりに乗ってもらって、操作の仕方を教わり、刈り始めました。手に汗をかきながら、レバーを操作します。雑草の多い所は稲の背丈が低く、そういう稲は籾を取る脱穀部分に行く途中でポロポロ落ちてしまいます。少しでも長い状態で刈るため、刈り刃を地面すれすれまで下げると、今度は雑草も一緒に刈ってしまいます。しばらくすると、草と稲がコンバインの中に詰まってしまい、これを取るのに一苦労。皆で少しずつ草や稲を取っていき、30〜40分かかってようやく取れました。やっとの思いで走り出しましたが、またしばらくして2度目のクラッシュ! 本当に申し訳ない。「はじめのうちは誰でも詰まらせて泣く思いをするんです」と、森さんや仲間の冨田さん、山下さんが励ましてくれました。刈り終えるころには日は西に傾き、秋の風は肌寒い。これが一人だったら本当に泣きたくなるだろうなと思いました。農業の大変さを一つ体験できました。貴重なチャンスをくれた森さん、ありがとう。
 先日も、かぜをひいて食欲のない学生さんが、森さんのお米を食べて元気が出たという声を聞き、良かったなと思いました。森さんは昨年、育苗段階で生長が悪く、やむなく有機肥料を入れましたが、今年は色々と工夫をし、無施肥の苗作りにチャレンジするとはりきっていました。がんばってほしいです。


2 福井県池田町にて
 「平成20年度の稲作を一言で表すと?」と聞くと、即座に「挫折」と言う冨田さん。確かに昨年はスタートの育苗からつまずく。水を張ったハウスで苗を育てるプール育苗で障害が出て、苗は赤くなり、ササニシキは植えることができませんでした。コシヒカリは決して健苗とは言えませんが、植えることはできました。不足した分は、石川県の森さんより有機栽培の苗を分けてもらい、田植えをしました。それは全体の16%ほど。
 田植え機にセットできる苗は、縦30、横60センチの苗箱に薄く土を入れ、そこに1〜2カップの種籾を播いて育てなければなりません。これは農薬と化学肥料を使用することを前提として開発された方法。この条件で無施肥無農薬の苗を育てることは至難の業で、自然農法の大きな課題のひとつと言えます。
 冨田さんは田植え後、小さな苗が雑草に負けないように除草に取り組みました。2町3反の田んぼに最低3回、草のひどい所は5回も6回も除草機を入れました。努力のかいあって、条間はきれいに草が取れていましたが、機械除草の限界か、株間には雑草が残り、草の多い所は稲の生長も悪かったです。収量も思うようにはいきませんでした。
 しかし今回、稲刈りを手伝って、一つ一つの作業工程に少しも手を抜かない冨田さんの姿を見ました。例えば、田んぼに重さをかけないため、コンバインの中のお米をこまめにトラックに搬出するとか、コンバインのチェーンや刃に使うオイルは植物性の特別な機械油を取り寄せるなど。そして稲の乾燥、籾摺り、精米、すべて無施肥専用のラインを使い、農薬、肥料をはじめとする、あらゆる化学物質を排除しようという心意気が感じられました。
 11月3日、冨田さんはTOREK自然農法農産展に参加され、主催者代表から「自然農法実践者として誇りを持つこと」「そして自然を甘く見てはいけない」という言葉をもらい、とても勇気を頂いたと喜んでいました。
 今年度は、何種類かのコシヒカリ以外の無施肥の種籾を入手し、何の品種が無施肥栽培にあうのかを試すそうです。また、一つ一つの作業を、何のためかと原点に返って見直し、行っていきたいとも言っていました。無施肥4〜5年、一番つらい時期かもしれませんが、ぜひがんばってほしいです。


3 長野県木島平にて
 堀さんに、平成20年度の稲作を一言で?と伺ったら、「ダイナミック!」という予想外の横文字がかえってきました。堀さんが米作りをして十数年、今までにないダイナミックな稲だったそうで、無施肥無農薬栽培における稲の生長の姿に、堀さん自身、興奮されている様子でした。確かに、私も堀さんから説明を聞き、根っこといい、分げつといい、茎の太さ、穂の長さなど、どれをとっても、すばらしい出来だと思いました。
 また、昨年は7月7、12、22日の3回、のべ24名で援農に行っていたので、豊作の田んぼを目の当たりにし、とてもうれしかったです。
 コシヒカリの田んぼ6枚は、コンバインを使って、堀さんの仲間が刈ってくれました。念入りに機械を清掃して、他のお米が混入しないようにしていました。また、今年のコンバインは藁を結束する機械がついていたので、藁を田んぼの外に出しやすかったようです。
 もち米は、バインダーという手で押す機械で1列ずつ刈って行き、はざかけをして天日乾燥です。10月4日、12人の援農で、もち米の田んぼ数枚を刈らせていただきました。スリランカのサマンさんも大活躍。とても楽しい一日でした。


参考1 「こだわりの手作り味噌!」 新潟県 小国町 飯塚伸子
 平成元年より始めた味噌作り。途中、大豆の収穫ができず、仕込めなかった年もありましたが、早いもので20年の歳月が経ちました。亡き主人が無施肥無農薬栽培の農法に感動し、日本一の米作りがしたいと昭和61年、家族で小国町へ移住しました。農業と無縁だった私も、今では微力ではありますが、生命の糧である食物生産にたずさわり、本当に幸福なことだと思っています。
 収穫したお米の大半を味噌に加工します。こんなおいしい米を味噌にするのはもったいないと言う方もいますが、お味噌にすることで、より大勢の方に自然のものを提供でき、色々なお料理に使って楽しんでいただけるのではないかと思っています。「無施肥無農薬栽培の米、大豆を使っての味噌作りがしたい」という昭和61年当初の強い思いもあります。
 幸いにも、手作りにこだわっている巨V潟農産の山本様とのご縁を頂き、味噌の加工を委託しています。手作りで行う工場は全国でも少ないとのことで、機械を使用しない、手作業によって作る上質の糀(こうじ)を使っています。
 良い糀を作るには、米をより上白に、ゆっくり精米するのが良いそうです。私のほうは一般の精米機で行い、上白で15%は捨てられるので、たんぱく質や脂質が取れて、中のでん粉を発行させる上質な糀が出来るわけです。
 樽を置いた場所、また同じ樽でも、奥と手前では味噌の色、香りが違います。それぞれの樽を開けるたびにドキドキします。人間もそれぞれ違うように、微妙に出来上がりが違うことに感動しています。味噌工場の従業員の方には「糀の出来上がりがとても白くてきれい」「香りが良い」などと、毎年ほめていただき、無施肥無農薬栽培の米、大豆なればこそと、うれしく思います。また、毎年田畑の草取りなど手伝ってくださっている皆様のおかげと感謝しています。
 これからも身体の続く限り、夢と希望を持って、自然農法に取り組みたいと思います。誠の愛の手で育まれた材料を使っての味噌を、ぜひご賞味ください!


参考2:自然農法稲作交流会2008
●第1回 (3月7日 八王子にて)
 平成20年3月7日、初の「自然農法 稲作交流会」が東京八王子にて行われました。新潟、長野、福井、石川、千葉から生産者が集い、平成20年度、無施肥無農薬の稲作を始めるにあたっての意見交換がなされました。
 食の安全を求める消費者の期待を背負い、自然農法をつらぬこうとする思いと、具体面では、種子の選別、箱苗の土に何を使うか、浸種、播種、代掻き、田植えなど、それぞれの取り組みを確認しあい、影響しあう生産者の姿が印象的でした。お米、期待できると思いました。(取材:針貝)


●第2回 (8月30、31日 新潟小国町 飯塚農園にて)
 8月30、31日、新潟小国町で今年2回目の稲作交流会が行われ、飯塚さんの田を訪れました。一枚一枚、手入れなど大変だと思いますが、一生懸命に田を守っている飯塚さんの姿に感動し、また、グループや地元の方々の応援があるそうですが、それはやはり飯塚さんのお人柄なのだろうと思いました。
 田んぼの見学の後は、各地域から集まった無施肥無農薬栽培の実施者との話し合いです。育苗、除草など、それぞれに苦労があり、何とか乗り越えようと奮闘している皆さんの生の声が聞けて、参考になり、励みにもなりました。「人間が食すべき安心安全な作物を作りたい」「地球環境に配慮した農業を目指している」「楽しく農業を営んで行きたい」。さまざまな視点からのアプローチがあるのだと学びました。
 無施肥無農薬栽培の作物は、病気の人でも食せる「人を生かす」食べ物であり、無施肥無農薬の土によって育てられた、ということを考えると、自然には科学や人智を超えた力があるのだ、ということを強く感じましたし、農業は自然の中でしていくもので、人間も自然に抱かれて生かされている存在なのだ、と改めて思いました。(取材:宍戸)

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関谷

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今年3月8日 稲作交流会









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森さん






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冨田さん

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11月3日農産展には、各地からさまざまな種類の稲穂が届けられた





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ダイナミックな稲を手にする堀さん

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10月4日 もち米の稲刈り



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飯塚さん

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味噌工場

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昨年3月7日 八王子にて


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飯塚農園にて

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